2/25 《2月の会》のふりかえり

イベントレポ

2024年・閏年の2月は、3月11日の今からふりかえれば、ずいぶん前のような、、、風のように過ぎ去ってしまった〝2月の会〟のことを思い出したいと思います。

まずは「詩」から始めました。「ともだち」というタイトルの、工藤直子さんの『のはらうたⅡ』に収められた詩。だいちさくのすけさんという(おそらく作者という設定の)大地が語る、いきものたちの営みや小川やかげろうといった自分の上や下で繰り広げられる自然の表情。それらはみんな、さくのすけさんにとっては「ともだち」で、「わしのそばで いつもなにかしている」というところが想像を掻き立てとても好きな詩です。前回1回目の反省もあり、ゆっくりめに味わうために2回読みましたが、反応は。。。特に感想は求めませんでしたので、地道に詩の朗読は続けていきたいなと思います。

続いて4冊の絵本『ゆきのひ』『てつぞうはね』『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』『さるとかに』を読みました。時間にすると30分くらい。4、5歳児の集中力ではぎりぎりかなといった感じでしたが、なんとか最後まで聞いてくれました。

かこさとしさんの『ゆきのひ』は、雪国・新潟の子ども達にとっては、馴染み深いものではありますが、さすがに時代が昭和ですね。今のふり方、雪との付き合い方とはちょっと違う点も多い印象です。ただ、5歳の女の子が帰り際に親御さんに「雪かきの道具(ラッセル)をつけて線路の除雪をする電車があるんだよ〜!知らなかった!」っと感想を言ってくれたそうです。なかなか現実には目にする機会がなくても、絵本をとおして、現実の出来事やものをイメージできるのはとてもいいことだなと思いました。発見があってよかったね! そして雪は新潟っ子にとってはともだち、遊べるもの、大変さや厳しさとは別の感覚を育んでほしい、雪国の新潟で育ったことを誇らしく思えるような、そんな大人になってほしいなと思いながらこの本を読みました。

『てつぞうはね』はちょっぴり切ないお話。生き物と一緒に住めば、必ずや経験する別れ。春は出会いと別れの季節といいますが、飼い猫のてつぞうが8回目の冬の日、小さくなって旅立ってしまった後の春、その家にやってきた新たな猫たち・ソトとボウがてつぞうとおんなじように桜の花びらをおいかけるシーンには、なんともジーンときてしまいます。「てつぞうはね、」と繰り返す、思い出やエピソードの数々、それが最後の方では「てつぞう、」と天国のてつぞうに語りかけている作者のことばの変化もまた切なく・・。読んでいてついウルっときてしまうお話です。子どもたちにも伝わったかな?

『けいてぃー』は、集中が切れてきてしまった空気感のなか駆け足で読んだせいもあって、私も子ども達も息をあわせてお話を楽しめなかったかなと反省。もう少し余裕をもって、たとえば、お話の会では一冊目に読む方がいいなと感じました。その方が絵もことばも、じっくり入ってくるのではないかなと思います。この感覚、忘れないようにしておこう。メモメモ!

最後は、さるかに合戦をモチーフとした『さるとかに』。きっとこの昔話にはいろいろなバージョンがあるのでしょうけど、今回は前々(おそらく夫が子どもの頃)から夫の家にあった、神沢利子さん(文)・赤羽末吉さん(絵)コンビの本を選びました。4冊目で疲れているかなと気にしつつも、昔話の引力とでも言えるんでしょうか、またお話に勢いが生まれ、子ども達も「きびだんご」がでてくるところで、「あっ、これ『ももたろう』といっしょ!」と嬉しそうな顔を浮かべ、知っているものへのわかりやすい反応が返ってきて、最後までそのままの勢いで読み切ることができました。そういえば不思議なことに、カニもさるも「つぶれてしまいました」「ひしゃげてしまいました」などと「死んだかどうかはっきりと言わない、あいまいな表現で終わっていることに気づかされます。作者の意図なのか、昔からの口伝、口承で伝えられてきたお話もそうなのか、他のお話はどうなのか興味が湧きます。昔話における「死」の扱いについて、少し今後もアンテナをはっていきたいなと思います。

読み聞かせの後は、すこしおやつ休憩。山形は鶴岡市の「からからせんべい」を手土産に持ってこられたお母さんがいて、みんなで楽しくいただきました。立体に焼かれた煎餅のなかに占いの紙が入っている辻占(つじうら)煎餅のように、中に小さなおもちゃが入っているというもの。息子は、かわいい星が5つも入っていて、しかも1つは金色で「やったー!」と喜んでいました。

休憩のあとは、親子入り混じり、いっせいに「和綴じ(四つ目綴じ)」体験をしました。

事前に「かな帖」を印刷した用紙(A5サイズ)を準備し、それぞれ束にして革ポンチで4つの穴を開けておきました。その穴に、こぎん刺し用の太めの糸と毛糸とじ針を使って「綴じていく」というこの作業。そこまで複雑ではないため、順番にやっていけば4、5歳児でもできます。ところどころ適度な加減で力を入れてひっぱったり、最初と最後の糸を結ぶ部分などは大人の手助けも必要ですが、バラバラとした紙の束が綴じることで、本になっていく過程を体験できたかなと思います。糸の色や飾りつけはなかなか個性がでてかわいい!「天良文庫」の千社札シールも和な雰囲気に合っていて、試しに今回作ってみてよかったなと思います。できあがった「かな帖」で早速お家でひらがなを書く練習をしてくれている子もいるようです。今後も面白そうな体験ができたらなと思います。

ちょうど3月のひなまつりが近いので、我が家の玄関ではおひなさま(地域のリサイクルセンターで譲り受けました)を飾っていました。とここまで書いて思い出しました!会の最初に「ひなまつり」の歌を伴奏なしで、みんなで1番だけ一緒に歌ったのでした!天良文庫では、こんな風に思いつきで歌もうたったりします。本はもちろんのこと、音楽もその字のごとく、たのしんでいきたいと思います!!

いよいよ次回3月の会は、天良文庫が始まって1年になる記念の回。こうして一回一回、手探りではありながらも楽しく続けてこれていること、ありがたく思います。文庫メンバーもどんどん増やしていきたい!本を介した小さな〝旅〟を一緒にできる仲間を募集中です。「メンバーになりたい」と思ってくださったみなさま、どうぞ「お問い合わせ」欄にあるメールにご連絡ください!お待ちしています。

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