穏やかに晴れた5月3日、2回目の天良文庫を開きました。〝こどもの日スペシャル〟と題した名前のとおり特別な会になったかなと思います。終わった後なかなか興奮さめやらず、、とても幸せな気持ちに包まれました。そして、この日はっきりと私の中でわかったことがあり、そのことについても最後に記録しておきたいなと思います。

5月の会は、何といってもハノイ在住の写真家の阿部萌子さんが新潟に来てくれて、天良文庫の、そして我が家の「今」が映った写真をたくさん撮ってくれたことが嬉しい出来事になりました。普段から私はパシャパシャと写真や動画を頻繁に撮っている方なのですが、誰かに撮ってもらうという体験は家族の記念写真くらいで、本当に久しぶりで新鮮なものでした。
朝、カメラ機材一式の入った大きなトランクケースを抱えて我が家に到着した萌子さん。初対面の萌子さんは、なんというか姿勢、風貌が凛としてかっこよく美しい方でした。ご自身は小柄な印象なのだけど、デジカメを首に下げて撮り始めると、不思議とカメラが小さく見えるような感じで、それだけ萌子さんがカメラと体とを一体にさせていることの表れなのかなと思いました。(萌子さん撮影の写真の中からピックアップして、ギャラリーとしてアップしました!【6月20日追記】)
萌子さんとの事前打ち合わせで、当日ポラロイド写真も数枚撮り、その中から「これ」という1枚をプレゼントしてくださると。しかもそれを額装できるとのことで、事前にベトナムで額を準備してくださいました。ハノイの街角の額屋さんの額のサンプルが並んだ写真を見せてもらい、あれこれ考えた末に希望をお伝えしました。
「ポラロイドで何を撮りたいか、当日までに考えておいてくださいね」と言われ、私は一番に「天良のことを思い出せる一枚」にしたいという思いがあって、でも何を撮るべきなのか随分と悩みました。天良文庫の日に、天良の存在を感じられる写真ーー。当日の空を写した写真か、読み聞かせをする居間の自然光の入るカーテン越しの影の写真か、そんなことをぼんやりと思い浮かべ、あらかじめ萌子さんに伝えておきました。そして当日、空を仰いで満開の花を咲かせる庭のモッコウバラか先ほどの窓辺の写真かを候補として撮っていただき、最終的にこの1枚を選びました。

この写真、私の目(心)には、天良がこの窓辺のひだまりの布団の上で寝転がったり、ふんばったりしている光景がいくつも蘇ってきます。ここで息子と一緒に過ごし、家族で笑い合ったあの時間たちがありありと浮かびます。その場所で5/3の今、私は天良文庫で子ども達とともに過ごしている。萌子さんは、見えないけれど大切なものを感じ取って、抱きとめて写してくれたのかな。それが嬉しく、ありがたく、この日のこの写真が大切な1枚になりました。萌子さんが「お守りのような写真を撮りたいんです」とおっしゃっていた意味が、この1枚からも十二分に伝わりました。萌子さん、本当にありがとう!そして、この日の我が家の空気を一緒につくってくれた参加者のみんなもありがとう!!
天良文庫撮影の後は、長岡で結婚式の前撮り撮影、翌日にはその結婚式本番があるとのことで、萌子さんは次の撮影場所へと出発されました。その後ろ姿はとても頼もしい姿でした。萌子さんと会えてよかった、かつて萌子さんの写真が私を惹き付け、そこで生まれた何かが天良文庫をやり始めた今につながっているのだなと、はっきりと感じました。そんなご縁に本当に感謝です。
さてさて、天良文庫の中身はどうだったかというと、「読み聞かせ」と「ミニ絵本づくり」をやりました。こちらはなかなかのタイトスケジュール(苦笑)。進行役の私は全部やりたい思いが先行して、子どものペースそっちのけで、いそいそと進めてしまった気がしてそこは反省点かなと思います。
チリンチリンと鐘を鳴らして「これから読み聞かせするよー」と子どもたちを集め、「こいのぼり」の唄をみんなで歌うところからスタート。慣れないピアノ伴奏に挑んだものの、案の定つっかえてしまい、自分が少し情けなかったのですが、子どもたちはそれでもなんとか歌ってくれました。その後、なぜ子供の日にこいのぼりをあげるのか、行事の由来を絵本にした『げんきにおよげ こいのぼり』を読みました。「やねよりひくいこいのぼり〜 ちいさなまごいはおとうさん‥」と主人公のお兄ちゃんが最初に歌うのが印象に残ったようで、息子はその後何度もこの替え歌バージョンで歌っていました。絵本の最後にでてくる、川の上空を泳ぐこいのぼりたちを実際に見ることができるよと、先日見に行ってきた〝加茂川のこいのぼり〟の写真を見せたりしました。

続いて、蛇腹になった絵巻絵本『かわ』を読みました。普通の絵本もあるのですが、この蛇腹状の絵本は開くとひとつながりの絵になっているので、かわの長さを体験してもらえるかなと思い選びました。娘に矢印のついたお手製指差し棒を持ってもらい、今どのあたりのことを話しているのか指してもらいつつ、私が読むという方法をとりました。この蛇腹の絵を次のシーンへ展開させていくタイミング、読むペースに合わせて棒を動かすタイミングなど、色々合わせるのが難しく、前日に娘と練習して臨んだのでした。あれはうまくいったのかな、、、?子ども達に後で聞いてみたいと思います。ちょっと変わった読み聞かせで、読んでいるこちらは楽しかったですけどね!

その次は『ももたろう』。大定番の昔話ですね。これは、たぶん一番子どもたちが集中して聞いてくれていた気がします。話の筋もわかりやすいし、赤羽末吉さんの絵もいい、ことばもシンプル。読んでいる私も話に没入できて面白い。その場の一体感の生まれやすい本だな〜と感じました。定番の昔話の魅力、もっともっと掘ってみたいという気がしました。そうそう、この本のおともに「日本一のきびだんご」という駄菓子を配りました。そしたら子ども達、すぐに開けて食べていました(笑)
最後は『キャベツくん』。これも子どもたちには人気でした。ブキャ、っというぶたやまさんの声、面白いですよね。保育園で何度か読んでもらったりしているようで、それぞれに「知っている!次はね、こうなるよ」「最後には○○になるんだよ」と反応してくれました。長新太さんの作品は私も大好きで、ついつい本屋でみかけると買ってしまうんですよね。あまり難しいことは考えず、絵本に身を委ねるような、そんな感覚。目の前の絵とことばに身をまかせ、忘れていたものをそっと思い起こしてくれるような、不思議な力のある絵本たちです。
読み聞かせは、この4冊で終了。トイレ休憩をはさんで、今度は机の上で「ミニ絵本づくり」へ。『これはかおのほん』というタイトルで、それぞれに自分の顔と名前を描き、途中2パターン、何かに変身した顔を描くという構成で、1枚の紙から、少し切り目を入れるだけで16ページの絵本が作れちゃうということを体験してもらおうと考えたワークショップです。ものの30分程度作業をして、絵本は完成!みんなとてもいい感じに仕上がりました!完成した絵本は、その後私が順々に発表し、みんなで見せ合いっこしました。


ここまでで盛り沢山な予定は終了!お迎えがくるまで、残り30分弱という目一杯なプログラムでした。子どもたちは動画に合わせて踊ったり、おもちゃを出してきて遊んだりと、短い時間を過ごして名残惜しそうに帰っていきました。一番名残惜しかったのは我が息子で「もっとみんなと遊びたかった〜(泣)そらくん文庫つまらない」とまで言われてしまいました。なのでこの反省を生かし、次回は詰め込み型ではなく、ゆったり自由時間を設けたいなと思いました。

最後に。今回の天良文庫を終えて、なぜか昂った私は興奮さめやらなかったわけですが、その中で感じたことを携帯のメモ帳に残していたので、それを恥ずかしげもなくここに記録しておきます。
何がやりたいのか
見えてきた気がする。
私はたぶん「イベント(出来事を起こす)」がやりたいのだな
誰かのきっかけや記憶になっていくような。
読み聞かせとものづくり、うた。
これは子ども達を目の前にして
出てきた一つの解というか表現、方法みたいなもの。
図書館がしたいのではなく
本の在る場 本と子どもをつなぐ事
そこに興味関心があった
誰かの心が育つことに興味がある
子どもに限らず
人として何かを掴んでいく、知っていく、体得していくことのワクワクする気持ち…
それをサポートしたい。
第一はそれぞれが人生を楽しむこと。
私の場合、そこにいつも本がある。
本のおかげ人生が充実していく、人と出会っていく、繋がっていく
それが何より生きる喜びになっている。
だから、その本を通して、本とともに
何かを楽しみとして創ること。
誰かとともに居る時間を過ごすこと。
そこに発見ややり甲斐や楽しみがある。
自分も学べるし、それはジブラーンの詩(※)にもあったように自分が弓となり、将来に向けて希望の矢を放つような感覚なのだ
それが私にとっての仕事でありライフワークなのかもしれない。
(※)ハリール・ジブラーン(1883-1931/レバノン出身、欧米を中心に活躍した詩人)の「こどもについて」という詩 私は神谷美恵子さんの訳詩もすきです。
- (参考本)『ハリール・ジブラーンの詩』(【翻訳】神谷美恵子/角川文庫)


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