東京子ども図書館と「わらべうた」コンサート!

イベントレポ

4月13日、有休をとり子どもたちと東京へ行った。平日なので娘はずる休み(笑)息子は初の高速バスを使っての日帰り旅。

目的は、寺尾紗穂さんの「わらべうた」コンサートに行くため。コンサートは夕方だったので、昼間の時間を使い「かつら文庫」に見学に行きたいと思っていたのだが、あいにく休館日で、現在はその運営母体になっている東京子ども図書館へ見学に伺うことにした。

まず東京子ども図書館。これまた休館日でしたが、事前にお電話し、広報担当のYさんが「文庫の説明や東京こども図書館の案内だったらできますよ」と言ってくださり、ご厚意に甘え見学することに。

東京子ども図書館は、都内4ヶ所の家庭文庫が母体となって発足した私立の図書館。中野区江原町の静かな住宅街にひっそりと佇む外見は都会のマンションのようだけど、レンガの壁がアカデミックな雰囲気の建物。1階が子どもたちに向けて本の貸出、おはなし会などを行っている児童室やホール、地下には児童文学を研究されている方へ向けた資料室、2階の事務室は図書館運営のほか出版や講座講演、お話会、人材育成など多方面に活動されている図書館のオフィス兼MTGスペースになっていた。

最初に図書館やかつら文庫の紹介ビデオを見せてくださり、その後一通り館内を見学。最後に事務室にて松岡享子さん(東京子ども図書館創立者で名誉理事長・2022年1月に亡くなる)の「こどもとしょかん」での連載をまとめたエッセイ集『ランプシェード――「こどもとしょかん」連載エッセイ1979~2021』を購入。児童文学者である松岡享子さんの深いご見識やご経験、感性やお人柄に触れられる544ページという大ボリュームな本です。ご自身もかつて家庭文庫「松の実文庫」を主宰されており、私にとっては勝手ながら大先輩になる方。少しずつ読み、今後の文庫活動の糧にさせていただきたい。

基本的に写真はNGでしたが、少し記録用に撮らせていただきました。

以下は、印象に残ったこと。

⚫︎読み聞かせの会である「おはなしのじかん」は、子どもだけが入れる「おはなしのへや」(穴ぐらのような感じのスペース)で行っている。ろうそくに火を灯してスタートする、ちょっと独特の雰囲気のあるお話会のよう。子どもは床の座布団に座ってお話を聞く。火を灯すことでおはなしの世界に入っていくスイッチが入るようで、いつか体験してみたい。(娘の話では、小学校の学校図書室でも司書さんがろうそくに火を灯してお話会をやっていたとのこと!)

⚫︎子どもにはいい本を手渡したいと、東京こども図書館では「ブックリスト」をこれまでに何冊も作っている。毎年新刊の出る絵本の中からおすすめしたい本を選び(その会議も開いている)紹介するということをずっと続けているとのこと。図書館司書はもちろん、家庭文庫を開く人、お話会を催す団体や保育園幼稚園関係者、児童文学の研究者など様々な方からこのブックリストは活用されている。先日の平和台文庫さんも参考にされていて、私も今後ぜひ参考にしたい。

⚫︎地下の資料室には、貴重な絵本や海外の絵本の原著や訳書、ブックリスト、さらに児童文学にまつわる様々な研究書など部屋いっぱいに膨大な資料が保管されていた。ビデオの紹介にもあったE(アイリーン)・コルウェル氏(1904-2002、児童図書館サービスの先駆者・卓越したストーリー・テラーでもある)の寄贈図書、その中で私が気になったのは米国の『The Horn Book』とよばれる1924年刊の児童書評誌。戦前から続くこの本が、どんな観点で何を大切にして児童書を評しているのか気になります。どれも興味深い資料ばかりで目移りしてしまう…。

「この正面玄関のバラがこれから5月にかけて満開になってとても素敵なんですよ」とYさん。記念に写真を撮ってもらった。

児童室や資料室に後ろ髪をひかれつつも、次回開館日にゆっくり訪れようと図書館を後にしました。

その後渋谷へ移動し、渋谷区文化総合センター大和田の伝承ホールで開催の「あのころのうた わたしの好きなわらべうた 東京公演」へ。

寺尾さんのわらべうたとの出会いは、天良文庫の中でいつか歌ってみたいなと思い「わらべうた」について調べていた時。Youtubeのおすすめ動画で偶々寺尾紗穂さんのわらべうたコンサートの模様を見た時にすぐさま耳が奪われ(!)、これは私の知るわらべうたではなく〝あたらしい音楽〟として耳に入ってきて衝撃的だった。その映像がこちら↓

それから、数時間もしないうちに寺尾さんのCD「わたしの好きなわらべうた」(1枚目のアルバム)をフリマサイトで購入していた。これが2/17の話。

以後車内でCDを聞くうちに、これはぜひ生でライブで聴かないといけないと思い、寺尾さんのtwitterを拝見したら、4月に伝承ホールで豪華なメンバーでわらべうた公演があるとのツイートを発見。どうやらタイミングがばっちりだったようで、すぐに予約。ありがたいことに中学生以下無料だったため、子ども達も連れて行こうと即決し、寺尾さんの所属するレーベル「こほろぎ舎」さんに子どもの人数を連絡して、今回の東京行きを急遽決めたのでした。

鳥肌は嘘をつかないのだな、と。寺尾さんと7人のメンバーによる「わらべうた」の演奏は本当に何ものにも代え難い素敵なものでした。

寺尾さんはシンガー・ソングライターであり文筆家でもある多才な女性。私と1歳しか変わらない!これまで何度かその名を耳にしていたにもかかわらず、お仕事に触れたのはこのわらべうたが初めて。1枚目となるCD「わたしの好きなわらべうた」は2016年に発売されていて、それまで寺尾さんがライブで各地を訪れる中で出会い、発掘した地域のわらべうたをオリジナルに編曲、リアレンジして演奏されてきたその蓄積が形になったもの。2枚目のアルバム「わたしの好きなわらべうた2」も2020年に出していて、そちらは今回コンサート会場でぜひ手に入れようと心に決めていた。寺尾さんのわらべうた発掘採集は、まだまだ続いていて各地のうたとの出会いや背景のわかる連載が、WEB本の雑誌のサイトで見ることができる。

寺尾紗穂さん連載「私の好きなわらべ歌」 

わらべうたは、子守唄、守子唄、手毬唄、数え歌、自然を歌う唄、地域の民謡のようなものまで、さまざまな種類があることを知った。寺尾さんは、ものすごい土着のものを嗅ぎ分ける嗅覚を持っているようで、またそれを自身の身体を通して、新しい命を吹きこんだ形で発していくことにとても才能があるように感じる。いわば歌の心を代弁するイタコのような存在。各地に埋もれた、忘れられたうたをいくつも発掘している。単に歌をアレンジするにとどまらず、その歌がなぜ生まれたのか、どんな思いがそこには込められているのかなど、各地の民俗学的な話や生活史、民話などにも興味の触手をのばし、より深いところからの理解と想像と表現をしているのが彼女独特のスタイルと言えるのではないか。

とにもかくにも、ライブは素晴らしかった!私の陳腐な言葉で感想を言うのはなんだか違う気がして、心に留めておこうと思う。無事2枚目のCDもゲットしました。

寺尾さんのわらべうたについては、また別の機会に少し詳しく触れてみたい。ちなみに新潟のわらべうたとして「風の三郎」が1枚目のCDに収められているけど、私も気になって「風の三郎」が採譜され掲載されている本『新潟のわらべ歌(日本わらべうた全集9下)』(1984 峰村辰典/柳原書店)をさっそく手に入れた。この本もとても面白い!きっと寺尾さんもどこかの図書館で手にされたに違いない。自分の住んでいる地域にかつて歌われた「わらべうた」には、どんな思いが、どんなことばがのっかっているのだろう。今も歌われている(残っている)うたがあるだろうか。ここからまた何かに誰かに出会える気がする。

最後に想定内ではあったのだけど、息子がやっぱりコンサートの子守唄の最中に爆睡してしまい…その後は17kgの身体を抱っこしながら渋谷駅から東京駅まで移動し、地獄の締めくくりとなったことを報告しておきます(苦笑)筋肉痛は翌々日に来ました(笑)にしても1日、よくがんばったな。

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