10/13「夜空の幻燈会」のご報告と感謝!!

イベントレポ

久しぶりのアップです。というのも10月は天良文庫にとっては「天良の命日」のある大切な月で、これまでで一番大規模な会になった「夜空の幻燈会」、翌日は「天良を憶う会」と立て続けに開催したため世話人の私はとっくに自分の限界を超えてしまい、会を終えても11月になってもぼーっと心ここにあらずな日々。これら2つの出来事をなかなか振り返ることができなかったからなのでした。

とにもかくにも、10/13の「天良文庫 presents 夜空の幻燈会」@Bond… は沢山のご協力とご参加(総勢なんと120名!)をいただき、奇跡がたくさん重なって無事に終えることができました。関係者の皆様、本当にありがとうございました!! 

夜空の下、スクリーンを揺らす風、虫の声、時おり雲から顔を出す月や星たち、飛行機の音までが幻燈会の舞台演出となって、あの場にいる私たち全員を包んでくれました。小林敏也さんによる『やまなし』『雨ニモマケズ』のスライド、渡邊純子さんの魂のこもった朗読、幕間にみんなで歌った「星めぐりの歌」、会場BGM、上映後の娘のピアノ演奏や天良の記録映像上映など予定になかった事まで盛り込み、初めてづくしで至らない点の多い中、全部やりきった!という感じです。

あの場にいらしたみなさんの中に、何か「大切なもの」を想い、感じる時間になってくれていたら嬉しいです。私もあの日感じた「あったかいもの」を今も心の中に持ち続けていて、それが何であるのか言語化しにくいけど「巡り合わせ」のようなそれは、これからも私の魂をゆり動かし続けてくれるような気がします。

少し振り返ると、開催直前の10/11。会場のBond…で映写と朗読のリハを行うことになり、この日から晴れマークが3日間は続くとわかったため、壁面に設置したスクリーンをそのままにして当日を迎えることができました。もしこの間に雨が降っていたら…と考えると、当日のセッティングが間に合わないという悲惨な事態になっていた可能性もあり、今回天気(きっと天国の天良)が味方してくれたことに何より救われました。(以下、9/27映写リハの様子)

新潟の10月半ばは比較的天気が良いとは言っても、屋外での夜のイベント。気温も下がることも想定しなくてはいけません。リハの時は風もあり相当寒くて、夜露が容赦なくパソコンや映写機材を濡らす状況で、これではお客さんも風邪をひいてしまう…など最後まで心配が尽きませんでした。それでもチラシを作成していた時点(まだまだ夏の盛り)で、「防寒具を持参して」と記しておいて良かったなと思います。そのくらい天候に左右されるリスキーなイベントであったことは百も承知なのですが、初めてだったからこそのビギナーズラック的な結果となり、今となっては「よく(こんな危ないことを)やったな」と少し可笑しみを感じてしまうくらい、奇跡的だったのだと思います。

会の最初は主催者である私、桾沢の挨拶。文庫活動のこと、天良のこと、「夜空の天良にも届くように」という気持ちで開催をしたことなど、今回の幻燈会の主旨をお伝えしたつもりです。そのことを知らない参加者からしたら、個人的な事情を知り驚いた方も結構いらしたのではないかと想像します。

そんな会場のピリッとした反応を肌で感じつつ、『やまなし』から上映朗読会はスタート。スクリーンが風が吹くとゆらゆら揺れるので、まさに川底のカニたちの棲む世界のように、終始揺らめく画面が印象的でした。渡邊純子さんの朗読は、ゆったりとしっかりと聞かせるような、さすがの長年のストーリーテリングの活動で培われた経験が反映された厚みのある朗読でした。スライド操作をしながらだとなかなか聞き入る余裕はないのですが、記録動画で改めて聴かせてもらい「すごいなぁ。自分にはこんな語り方できないなぁ」と感心。じっくりと感慨深く賢治の『やまなし』の世界に浸ることができました。

比較的賢治作品の中では、話の短い『やまなし』ですが、初めての幻燈会には良い選択だったのではないかなと思います。赤ちゃん〜高校生までの子ども達は26人ほど参加してくれたのですが、特に未就学児の文庫メンバーたちの集中が続くかが心配でした。がそんな心配はまったくの杞憂で、最後までお話を聞いてくれていたようでした。

補足として『やまなし』に描かれるイワテヤマナシという見慣れない果実の解説も少しさせてもらい、当日テイクアウトの軽食を販売してくれたBond…で、我が家で用意した「イワテヤマナシ」シロップのソーダ水もお出しいただき、多くの方にあの芳醇な薫りを味わってもらえて嬉しかったです!こちらの「イワテヤマナシ」はいわてやまなし研究所の片山寛則様より購入させていただきました。ジャムも美味でおすすめです!

その後5分間の休憩の間に、宮沢賢治作詞・作曲の「星めぐりの歌」をBGMで流し、休憩後に文庫でいつもやっているように、会場のみなさんと「星めぐりの歌」を歌いました。ちょうどこのくらいの時間になると、雲がだんだんとはけてきて、月も星もよく見えるようになり、この歌が夜空に映えて幻燈会らしい雰囲気に。きっと歌をつくった賢治自身も「羅須地人協会」を創り、まさに幻燈会のような場で多くの農民や仲間たちと集い、(オルガンやチェロなどを演奏して)音楽を味わったり、農業のこと、芸術や科学について教えたり、語らったりしたのではないかなと想いました。

後半は『雨ニモマケズ』(1931年11月3日、賢治の手帳に書きつけられた詩)。たった30行のこの言葉たちに力をもらった人は数知れないのではないかなと思います。改めてここに記してみます。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

小林敏也さんのつくった一枚一枚が、賢治作品を自らも沢山味わい、「画本(えほん)シリーズ」として発行し続けてきた小林さんならではの独自の表現に昇華していて、見るものに強い印象で訴えてきます。そこへ渡邊さんの朗読が加わり、お二人の賢治のことばへの解釈と表現が相まって、唯一無二な立体的空間的画本となって私たちの前に立ち現れた!そんな気がしました。最後の「サウイフモノ二 ワタシハナリタイ」の響きには、渡邊さんご自身の声と賢治の声が重なるような不思議な心地すらしました。その後この詩を読むとあの時の朗読の声と映像が蘇るような、私にとっては心に深く刻まれる体験となりました。会場のみなさんはどう感じたかしら…。感想をいただいているので、後ほどご紹介します。

こうして2作品の上映朗読を無事に終え、会場をBond…店内に移して今度は娘(桾沢直)のピアノ演奏に。Bond…には、店主・吉川さんのご自宅から運んできたというKAWAIのアップライトピアノがあります。そのピアノを使ってコンサートなども催されたりするそうで、これはいい機会!とばかりに娘に演奏をお願いしました。夜空の幻燈会にあわせて、「月の光」(C.ドビュッシー作曲)と「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」(坂本龍一作曲)を弾きました。なかなか時間のない中で頑張って練習してくれて、あの場や後日に「感動しました」と言ってくれる方も多く、娘も嬉しかったのではないかなと思います。「戦場のメリークリスマス」は小学5年生の時、オリジナルを少し簡単に編曲したものを発表会で弾いたのですが、再び「本人の作曲したオリジナルが弾きたい」ということで、11月の中学最後の発表会のために選曲しました。昨年3月に亡くなった坂本龍一さん。天良の旅立ちの直後に聞いたYouTubeでのラスト演奏(2022.12)は、本当に心に迫るものがありました。

ピアノ演奏を終えると、最後に元々は予定していなかったのですが、数日前にこれもやろうと決めた映像をスクリーンに流しました。天良が亡くなって1周忌の際に作成した『天良との日々』という記録映像です。素人ながら、天良と過ごした175日を振り返り、惜しむようになぞるようにして作成した14分の動画です。大人になるまで明日がずっとあるものと思っていた我が子との日々が突然絶たれてしまったこと。喪失の気持ちが強かったあの時と比べ、2年が経過した今は、あの日々を支えにして今を生きていると実感します。生々しい別れの瞬間の記憶はまだ私の心をえぐる時もありますが、こうして映画のように大写しになった映像の中で出会う天良は、本当にいい笑顔で、輝いていて、「出会えて良かった。ありがとう」とプラスの気持ちにさせてくれます。会場の皆様には最後まで見てくださり感謝感謝です。

「夜空の幻燈会」は、私の個人的な思い入れから始まり、終始その思いに突き動かされ、多くの皆さんを巻き込み成り立った会でした。お付き合いくださった全員に感謝申し上げます。また次回ができたらとうっすらとした気持ちも芽生えております。その際はどうぞよろしくお願いいたします。

当日、会場ではたくさんのカンパ(¥18,710)をいただきました。その後、収納が不足していた絵本棚を購入させていただきました!この場をお借りしてご報告させていただきます。

また当日のアンケートのまとめをリンクします。嬉しいご感想(下記にいくつか抜粋させていただきます)をたくさんいただきました。ご回答下さった皆様、ありがとうございました!

「風が吹いたのが、波みたいに見えて幻想的だった」

津島屋で生まれ育って、明日で52年になりますが、こんな素敵なスライドが見られる日が来るとは、夢にも思いませんでした。

語り手の方の想いも伝わる素敵な朗読でした

朗読を聞きながら真上の星を眺めているのも好きでした。(折角のスライド上映なのにすみません。でも、あの場あの時に雲間に現れる星や月明かりも、特別な今を感じられて充分過ぎるくらい満たされるものでした。)

とても良かったです。きれいでした。スライドの上の窓ガラスにうつる月もとてもきれいで感動しました。

宮沢賢治さんの作品や小林敏也さんの画の素晴らしさもさることながら、秋の夜空のもとで風を感じながら朗読を聞くことができ、とても心が温かくなりました。ピアノの演奏も感動しました。

想いに寄り添う温かい時間でした。応援しています。

すべてに感動しました。天良文庫にもぜひ行ってみたいです。

最後に感謝を込めて「夜空の幻燈会」協力者の皆様のお名前を掲載させていただきます。(順不同)

小林敏也様(山猫あとりゑ)・渡邊純子様(おはなしマドレーヌ、おはなしの泉、子ども支援ネットワーク・ライツ いずれも代表)・吉川理恵様(Bond…)・吉川剛様(吉川鉄工所)・木戸敦子様(株式会社ミューズ・コーポレーション 喜怒哀楽書房)・株式会社オークス様・佐藤雄一様(北書店)・井上経久様(市民映画館シネ・ウインド)・佐藤明子様(Jazz FLASH)・石塚千加子様・原田悠歩様・坂口淳様(新潟県立大学)・大倉宏様(砂丘館)・井上美雪様(新潟絵屋)・天良文庫メンバー&こどもサポーターの皆様・桾沢家のみんな(和典・直・土絵・天良)

リハの時の記録映像『天良との日々』より

*掲載写真撮影:中沢結美子(いつも素敵な記録をありがとう!)、桾沢直・和典・厚子

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